もりじゅんの読書ブログ

読んだことない人には面白そうと、読んだことある人にはヒントの1つをと、作品を紹介できたらと思います

その他

感謝を忘れがちな人に スコット・アラン『毎日を好転させる感謝の習慣』

『毎日を好転させる感謝の習慣』 スコット・アラン 弓場隆訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン タイトル通り、感謝を日常に取り入れることを推奨する本です。感謝の念を持つことによって、どのような人生のメリットが生まれ、具体的にどのように感謝の習慣…

奇書を超えた傑作? 原作と映画はどう違う? アラスター・グレイ『哀れなるものたち』

『哀れなるものたち』 アラスター・グレイ 高橋和久訳 ハヤカワ文庫 カバー型帯 知人に「面白いよ」と教えられて2月下旬、ヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演の映画、『哀れなるものたち』を観てきました。 www.searchlightpictures.jp 2時間半…

ブレイディみかこ『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』

『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』 ブレイディみかこ 文藝春秋 シンパシーとエンパシー みなさんは「共感」という日本語、どのように使われますか。 「今の日本の政治家の話し方にはまったく共感できない」 「この監督の一つ前の作品には…

誰もがインストールされている「能力主義」の危うさ サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』

『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 マイケル・サンデル 鬼澤忍訳 ハヤカワ文庫 いやあ、面白かったです。どういった種類の面白さかというと、知的丁寧さと思慮深い論考によって、「自分はこれまでだいぶ間違っていたのではないか」と自責すら覚える内省…

わからないけれどわかる男心 強者は弱者と心を通ぜられるのか? 白石一文『一瞬の光』

こんにちは。 雨が降っています。 全国的に快晴というところはなさそうな祝日。 いかがお過ごしでしょうか。 『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読んでいるのですがこれがなかなか読みごたえがある。私の「能力」だと一日に頑張っても2章しか読み進め…

面白がれるポイント満載 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

2006年刊行、翌年山本周五郎賞受賞、並びに本屋大賞2位だった本書を読了しました。 裏表紙の概要文に「キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作」とありましたが、頷ける内容。普段あまり読まないジャンルの小説だったので、「面白がらせ方」を面白がる読…

理屈でなく感性を書く――禅における二元論を越えた一元へ 鈴木俊隆『[新訳]禅マインド ビギナーズ・マインド』

書影 『[新訳]禅マインド ビギナーズ・マインド』 鈴木俊隆 藤田一照訳 PHP研究所 読もうと思った動機 たしかですけれど、自分の瞑想法に、疑問のようなものを抱いて、少し本格的な書物を手に取ってみようと考えた記憶があります。鈴木大拙を調べているう…

お好み焼きを"平べったいたこ焼き"と言うお天気おねえさんのフォトエッセイ 檜山沙耶『ブルーモーメント』

書影 『ブルーモーメント』 檜山沙耶 ワニブックス 購入したいきさつ 2022年夏頃、YouTubeに、以下と似たような動画がサジェストされてきました。 www.youtube.com なんだこのぶっ飛びお姉さん! 面白い! それにこの番組なんだ? と興味がかき立てられたわ…

理論物理学者が明かす衝撃の時間論 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』

科学的、哲学的、心理学的、宗教的、その他さまざまな観点から時間について語られてきましたが、現代の最新の理論物理学――著者はその中でも量子重力理論を扱い、超ひも理論と並ぶ「ループ量子重力理論」を主導する一人――の見地に立つと、どう見られるのか? …

儒教と並ぶ中国思想・道教の原典 『老子』

気になった箇所 上善は水の若(ごと)し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、故に道に幾(ちか)し。 居は地を善しとし、心は淵を善しとし、与(まじわ)るは仁を善しとし、言は信を善しとし、正は治を善しとし、事は能を善しとし、動は…

トルストイ『人生論』 ゆるい要約と個人的な感想

2024年1月20日、今日は日本の暦では大寒です。 文字通り最も寒い季節とされます。 寒の期間(小寒~立春)のちょうど中日であり、そう考えると、これから寒が退いていくとも考えられます。 みなさん、どうぞご自愛ください。 私も自愛します。 具体的にどう…

エックハルト・トール『ニュー・アース』 概要と思ったことなどをつらつら

先週帰国した妹と話していて、一番驚いたのは、 「アメリカでは、年齢を訊ねるのはNG、むしろ法的にまずいことになる」 ということでした。 履歴書でも年齢は記さないとのこと。 そのときは、「国が違うと前提となる文化もぜんぜん異なるんだなあ」ぐらいに…

児童文学の名作『モモ』のご紹介 なぜ読み継がれるのか?

昨年前半、遅ればせながらジブリ作品をたくさん借りて観てみました。宮崎駿を始めとするアニメ映画の作り手たちが児童文学を愛していることを知り、自分も読んでみようと思いました。 本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書) 作者:宮崎 駿 岩波書店 Am…

舞城王太郎『煙か土か食い物』のネタバレなしストーリーと魅力についてご紹介!

アメリカ西海岸に住むIT企業に勤める妹が一時帰国して少し話したのですが、一番記憶に残っているのはこれは彼女の感情的な私見なのですが、 「フランス人が世界で一番性格が悪い」 ということでした。 「フランス人ってアメリカ人をめっちゃ馬鹿にしてるよね…