2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧
イントロダクション 昨年村上春樹と川上未映子によるインタビュー集『みみずくは黄昏れに飛びたつ』を読んでいて、1995年阪神大震災後、神戸と芦屋での2回のチャリティー朗読会の合間に短編「めくらやなぎと眠る女」が短く書き直され、「めくらやなぎと、眠…
『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 マイケル・サンデル 鬼澤忍訳 ハヤカワ文庫 いやあ、面白かったです。どういった種類の面白さかというと、知的丁寧さと思慮深い論考によって、「自分はこれまでだいぶ間違っていたのではないか」と自責すら覚える内省…
こんにちは。 雨が降っています。 全国的に快晴というところはなさそうな祝日。 いかがお過ごしでしょうか。 『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読んでいるのですがこれがなかなか読みごたえがある。私の「能力」だと一日に頑張っても2章しか読み進め…
レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』で彼の文体に魅了され、初長編作『大いなるお別れ』を読んでみました。 mori-jun.hatenablog.com 期待していた「文体の精度・密度」は得られなかったものの、主人公・フィリップ・マーロウの性格は知っていた…
2006年刊行、翌年山本周五郎賞受賞、並びに本屋大賞2位だった本書を読了しました。 裏表紙の概要文に「キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作」とありましたが、頷ける内容。普段あまり読まないジャンルの小説だったので、「面白がらせ方」を面白がる読…
書影 『[新訳]禅マインド ビギナーズ・マインド』 鈴木俊隆 藤田一照訳 PHP研究所 読もうと思った動機 たしかですけれど、自分の瞑想法に、疑問のようなものを抱いて、少し本格的な書物を手に取ってみようと考えた記憶があります。鈴木大拙を調べているう…
書影 『ブルーモーメント』 檜山沙耶 ワニブックス 購入したいきさつ 2022年夏頃、YouTubeに、以下と似たような動画がサジェストされてきました。 www.youtube.com なんだこのぶっ飛びお姉さん! 面白い! それにこの番組なんだ? と興味がかき立てられたわ…
はじめに W・サマセット・モーム『月と六ペンス』を読み終えました。イギリス文学はディケンズをちょっぴり齧った程度。だいぶ考えさせられました。久々に読みごたえのある内容というかテーマ。スタイルと文体は若干古臭い感じはしますが、それでもエンター…
吉行淳之介の小説システム図 『若い読者のための短編小説案内』 村上春樹 文春文庫 吉行淳之介「水の畔り」 P62を参考 こんにちは。 今日は2024年2月4日、立春ですが、だいぶ冷えこんでいます。 寒は明けたわけですが、今週、雪がちらつくとか何とか。 毎年…
科学的、哲学的、心理学的、宗教的、その他さまざまな観点から時間について語られてきましたが、現代の最新の理論物理学――著者はその中でも量子重力理論を扱い、超ひも理論と並ぶ「ループ量子重力理論」を主導する一人――の見地に立つと、どう見られるのか? …