もりじゅんの読書ブログ

読んだことない人には面白そうと、読んだことある人にはヒントの1つをと、作品を紹介できたらと思います

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

儒教と並ぶ中国思想・道教の原典 『老子』

気になった箇所 上善は水の若(ごと)し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、故に道に幾(ちか)し。 居は地を善しとし、心は淵を善しとし、与(まじわ)るは仁を善しとし、言は信を善しとし、正は治を善しとし、事は能を善しとし、動は…

娯楽小説家としての司馬遼太郎 『燃えよ剣』

「―――」 七里は、気合で、誘った。 歳三は動かず。 七里は踏みこんだ。 とびあがった。 上段から、電光のように歳三の左籠手にむかって撃ちおろした。 が、その前、一瞬。 歳三はツカをにぎる両拳を近よせ、刀をキラリと左斜めに返し、同時に体を右にひらい…

やまとことばと漢文の系譜 なぜ国民教材であり続けるのか 中島敦「山月記」を考える

私は中学までは主に歴史小説を読んでいたのですが、高校に上がって、いわゆる純文学小説を読むようになりました。 それは、教科書に載っていた中島敦「山月記」や太宰治「富嶽百景」に触れたからというのもあります。 それ以降は書店で自ら本を選び自分の知…

トルストイ『人生論』 ゆるい要約と個人的な感想

2024年1月20日、今日は日本の暦では大寒です。 文字通り最も寒い季節とされます。 寒の期間(小寒~立春)のちょうど中日であり、そう考えると、これから寒が退いていくとも考えられます。 みなさん、どうぞご自愛ください。 私も自愛します。 具体的にどう…

エックハルト・トール『ニュー・アース』 概要と思ったことなどをつらつら

先週帰国した妹と話していて、一番驚いたのは、 「アメリカでは、年齢を訊ねるのはNG、むしろ法的にまずいことになる」 ということでした。 履歴書でも年齢は記さないとのこと。 そのときは、「国が違うと前提となる文化もぜんぜん異なるんだなあ」ぐらいに…

村上春樹「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」(『一人称単数』)を考察する

前回の記事で芥川龍之介「歯車」を取り上げたのは、村上春樹「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」という短編を再読してみたかったからでもあります。 この短編は村上春樹の現最新短編集『一人称単数』(2020)に所収されていて、8つの短編の中でも一…

「歯車」 芥川龍之介が遺した死なないための処方箋

こんにちは。 とある小説を読んでいて、「寒中」とは、小寒から大寒、そして立春の間の時期を指すと学んだのですが、今はまさに「寒中」ということになりますね。 寒中お見舞い申し上げます。 朝方の冷えが特に体に堪えます。 寒中が出てくるその小説とは、…

児童文学の名作『モモ』のご紹介 なぜ読み継がれるのか?

昨年前半、遅ればせながらジブリ作品をたくさん借りて観てみました。宮崎駿を始めとするアニメ映画の作り手たちが児童文学を愛していることを知り、自分も読んでみようと思いました。 本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書) 作者:宮崎 駿 岩波書店 Am…

舞城王太郎『煙か土か食い物』のネタバレなしストーリーと魅力についてご紹介!

アメリカ西海岸に住むIT企業に勤める妹が一時帰国して少し話したのですが、一番記憶に残っているのはこれは彼女の感情的な私見なのですが、 「フランス人が世界で一番性格が悪い」 ということでした。 「フランス人ってアメリカ人をめっちゃ馬鹿にしてるよね…

チャンドラー『ロング・グッドバイ』の概要と魅力のご紹介

前回の記事で大切なことを書き忘れていました。 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 挨拶や年・季節の区切り、大事ですよね。私ときたら、自分の誕生日も祝わない、クリスマス、正月も楽しまない。まったくの通常運行で日々…

太宰治『斜陽』のあらすじ、解説と面白がれるポイント紹介

太宰治全集9 ちくま文庫 太宰治のプロフィール 『斜陽』の背景 主要登場人物 あらすじ 解説、面白がれるポイント まとめ 太宰治のプロフィール 1909年(明治四十二年)、青森・津軽の大地主の家に生まれ育ちました。東京帝国大学(現東京大学)文学部に進学…